透析治療のサポート

フットケア

1.糖尿病と透析の関係

新たに人工透析が必要となる1番多い原因が糖尿病です。
近年糖尿病が原因で人工透析が必要となる患者さんが急増しています。
糖尿病はインスリンの分泌低下あるいは、感受性の低下により高血糖の状態が慢性的に続く病気です。この状態がいろいろな合併症を引き起こすことにつながります。
慢性高血糖の状態が続くと微小血管障害が起こります。

Ⅰ神経障害、Ⅱ網膜症、Ⅲ腎障害が3大合併症と言われる糖尿病特有の障害です。

Ⅰ 神経障害
神経細胞に血液が届かなくなる。
足の感覚が鈍くなり傷の痛みを感じなくなり異常の発見が遅れる。

Ⅱ 網膜性
目の毛細血管が阻まれ酸素栄養が行き届かなくなるそれにより視力が低下したり失明に至ることもある。
足の小さな傷に気づかず発見が遅れる。

Ⅲ 腎障害
腎臓にある細かい血管が蝕まれていき腎機能が低下し最終的には人工透析が必要になる

※その他※
1)易感染(いかんせん)
高血糖が持続することで白血球の中の好中球の働きが低下し免疫力の低下が起こる。
2)動脈硬化
動脈硬化の進行により血の巡りが悪くなり血液や酸素が運ばれにくくなり傷の治りを悪くする。
 

2.フットケアとは何をするの?

足(下肢:かし)の血管にも同様に血流障害が起こる上記の状況も重なり小さな傷等早期発見治療が遅れることがあります。

潰瘍化(かいようか) → 壊疽(えそ) → 切断を余儀なくされる。

このような状況を避けるために日々の下肢の状況確認、異常の早期発見治療が重要となってきます。

当院では、糖尿病の患者さまに週に2回の下肢チェックを行っています。
※チェック内容※
・傷はないか
・冷感はないか
・自覚症状の有無の確認(しびれ、痛み、感覚が鈍いなど)
・爪は伸びていないか介入していないか
・足の動脈の触知(しょくち)はどうか

また、下記の項目を患者さまご自身に確認して頂き、セルフケアして頂くことも大切です。
・足の清潔を保つ(石鹸は泡立てて指の間をやさしく洗う)
・水気を抑えるように拭き取る
・乾燥を避け保湿クリームの塗布
・爪切りは深爪にならないように注意し少し長めに切る
・治療薬が処方されている場合は清潔にした後に指示通り塗布
・普段から足を傷つけないようになるべく諏訪市を避け靴下を着用する
・圧迫のない靴、靴下を選ぶ
・危険因子を避ける(小さな傷、ひび割れ、水泡間生、靴擦れ、水虫、魚の目など)
・低温やけどに気をつける(安価、湯たんぽ、カイロ等の使用を避ける)
・たこや魚の目を自分で勝手に削ったりしない
・傷を作ってしまった場合は事故処置ではなく医師に診察してもらう
・外出して長時間歩行した時は特に注意して観察する

患者さん本人とスタッフとで異常の早期発見治療に努めましょう
状態によってはABIのチェック、C T、フットケア外来、血管外科、循環器内科などの専門の科を手配し対応いたします。

鍼灸治療

腎研クリニックでは、50年に及ぶ歴史の中で、患者のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上を一つの目標として活動を続けています。
QOLとは、患者の「生活の質」「満足度合い」を上げる治療を研究してまいりました。
その研究範囲は西洋医学だけでなく、東洋医学も視野に入れ患者さんのQOLを高める事を目指しています。

透析治療を行なっている患者さんに行う鍼灸治療は、透析中に現れる痒みや痛みの緩和が期待できるものです。
治療の際に、西洋医学では神経、血管を中心に考えますが、東洋医学では経絡と言われる一般的に言うツボに着目し、円皮針と言われる長さ0.5mmから1mmの特殊な針を用い、経絡に針を刺していきます。

この針は、殆ど痛みを感じることも有りませんが、一般的に針治療に用いられる長い針よりも透析時の痒みや痛みを抑えるには効果があるのでは無いかと考えられています。

漢方治療

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栄養相談

当院では透析を受けられている患者様へ栄養指導を行っています。
腎臓には多くの機能があり、24時間毎日はたらいていますが、血液透析では腎臓の機能のすべてをまかなうことはできないのが現状です。

腎機能に負担をかけないためにも、食事による栄養管理が必要となります。医師の指示の下、管理栄養士が患者様のベッドサイドに訪問し、栄養摂取状況の聞き取りを行っております。

透析を受けられる患者の中には、食事量や塩分摂取が多い方、食事制限を意識するあまり低栄養になっていないか等をチェックしています。

栄養指導では患者様のライフスタイルに合わせた指導を心がけております。栄養指導では他にも、生活習慣病(糖尿病・脂質異常症・高血圧症など)を抱えた患者様にも外来で個別の栄養指導を行っています。

生活習慣病は放置する時間が長くなるほど重篤な合併症に罹患する割合が高まります。改善には減量を含めた食生活の見直しが必要です。

極端な食事制限や自己流の食事を行なっている方々には必要な情報を提供しながら3食を均等にバランスの良い食事の摂り方をわかりやすく丁寧に教えています。

シャントトラブル発生時

人工透析のトラブルとして「シャントトラブル」があります。
近年では、人工透析の技術も進化し安全性も高まっておりますが、それでもリスクは決して低くはありません。
シャントトラブルにより透析が出来なければ生命に危険を及ぼすことがございます。
患者さまの病態に合わせた適切な治療法を選び実施することが重要です。